2018-05-23
大工の手刻みでキッチンの桧のカウンターをつくります。材料は桧の耳付き幅はぎ板。耳付きとは木の皮のところ。木は丸いので皮のところは板にすると三角形の断面になります。耳付き板は自然のぐにゃぐにゃした形状で面白みがあります。はぎ板とは無垢の板の側面を繋ぎ合わせた板の事。繋ぎ合わせてはいますが、一見すると一枚板に見えます。一枚板にするととても高級ですので幅はぎ板を使います。
カウンターの下はスギムクボードを使います。節のある杉の無垢板を繋ぎ合わせた幅はぎ板で、粗々しい雰囲気の材料ですが、気取らない雰囲気が良いです。この家ではフローリングの下地材の床板、屋根の下地材の野地板にも使っていますが、棚として化粧材にも使います。
キッチンのカウンターには2枚引きの引き戸を入れて、食事室と仕切れるようにします。調理や片付けでキッチンの音がうるさい時に仕切りたいとご主人のご要望です。
引き戸を開けた時、階段の下に戸を収納できるよう。ササラ桁を切り欠きます。
ササラ桁は階段を支える最も重要な構造材です。切り欠いた部分に細い柱を立てて補強します。引き戸が収納されたときこの柱の表面とそろえることにより、柱がある方がかえってきれいにみえます。
引き戸の上に棚を作ります。真ん中で仕切ってダイニング側からは飾り棚、キッチンからは収納となります。
引き戸の上の棚の上に2階の吹抜の柵をつくります。吹抜の柵は木製の丸棒とします。その足元を固定する穴を加工し、設置します。
丸棒と柱を立てていきます。
丸棒の上に予め加工していた笠木を取り付けて吹抜の柵の完成です。
2階の吹抜に面する柵にはカウンターを設置します。このカウンターは2階の子供部屋と連続する位置にあり、1階の居間を見下ろす事ができます。家族のコミュニケーションを促進する仕掛けの一つです。こちらも桧の耳付き幅はぎ板を使います。
カウンターの側面を固定するために壁をつくります。圧迫感がないよう上部は斜めにします。予め電気の配線を仕込んでおきます。
2階のカウンターを設置しました。このカウンターと吹抜の柵は一体的になります。柵は床から75cmと低くしていますが、手前にカウンターがあるため低くても安心です。
側面の壁に杉の羽目板を張りました。
キッチンのカウンターに可動棚を設置します。こちらは杉の積層材を採用しました。杉の積層材は色の濃い部分(赤身)と白い部分(白太)がはっきりしていてそれが混ざって、紅白の美しい棚となります。
完成です。
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