2016-02-01
【設計・監理:中村伸吾建築設計室(http://n-shingo.net/)】
周平です。
新築工事に向け、年初めから構造材の刻みを作業場で行っています。刻みとは木造において構造材を大工の手仕事によって加工していく作業の事です。大工がそれまでの経験を活かして一本一本木を見て考えて最適な木材を選び最適な方向、最適な面に一つ一つ加工し、隅々まで細部に渡って魂を入れて墨をつけ、心を込めて加工していきます。墨をつけるとは棟梁が木のどの部分を加工するか実際の木に描いていく作業の事です。
一方、現在ほとんどの家がプレカットという工場生産により、構造材の加工がされています。その結果、大工は実際に家を組み立てる建前の時に初めて、その材を見る事になります。つまり、家で最も重要な構造の部分について大工がほとんど関わっていないことが多くの家の実状となっています。
私はこの刻みという作業が無くなってきている事が昨今の大工の技術力の低下ひいては大工の成り手が減ってきている事につながってきていると思っています。私は大工の技術力の維持と向上のため、この刻みという作業をこれからも大切にしていきたいと思っています。それがこの家を造ったという大工の誇りを守っていく事になり、大工になりたいという若者が増えていき、結果良い大工が育つという事になると思います。ほとんどの人にとって、 家を建てるという事は人生で最も高い買い物なのだから、職人が細部に渡って心を込めた家をつくっていきたいと私は思っています。まして、 木は自然のものであり、生き物です。一つ一つ個性も特徴も違います。だから機械まかせではなく、大工が一つ一つ木を見てつくっていきたい。私はそのように思っています。そういった訳で、刻みを行っています。
棟梁が看板板(かんばんいた)を描いています。(棟梁とはその家における大工の責任者です。)
看板板とは棟梁が板に描く大工の設計図です。これを描く事により、棟梁は頭に家の組み立て方を叩き込み、これに基づいて木に線を描いていきます(墨付け)
こちらが、出来上がった看板板です。
こちらが、搬入された材木です。今回の物件はほとんどの材木がそのまま仕上となるため特に気をつけて作業する必要があります。
棟梁が材木に墨をつけていきます。
棟梁がつけた墨に基づいて、若手の大工が様々な道具を駆使して、加工していきます。
ずらりと並んだ大工道具。これでも一部です。
当社創業者であり、先代社長の父が作業場を覗きに来ました。父もだいぶん年を取りましたが、作業場に来ると目つきが変わります。
こちらが出来上がった仕口です。仕口とは木と木の接合部の加工の事です。材木に書かれている平仮名と漢数字は柱の場所を示しています。この文字に基づいて、建前当日は組み立てていきます。
私が作業場に行けばこっちは節が多いから裏にしておくぞ、こっちは割れも少なくきれいな面だから見える所に使うぞと、棟梁から相談されます。それだけ、じっくり木をみて丁寧に作業しているという事です。刻みはまだまだ続いていきます。
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