2017-09-02
新築住宅の屋根工事についてご報告します。
屋根材を葺く下地を野地板といいますが、今回は屋根で通気を取っているため、この野地板が2重になっています。
まず1枚目の野地板ですが、今回は24㎜厚のスギムクボード使っています。
スギムクボードは厚さ24㎜の無垢の国産杉板を側面だけ接着剤でくっつけた畳1帖の大きさの厚板(はぎ板と言います)です。側面のごく少量だけ接着剤を使っていますが、主要なシックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドが含んでいないノンホルの接着剤です。近年、野地板は大多数の家で構造用合板が使われていますが、合板は木を薄くスライスしたものを全面的に接着剤でくっつけて何枚も重ねている商品です。つまり接着剤の塊みたいな板です。このため、木の重要な特長である湿気を調整する機能がほとんどなくなってしまいます。湿気を調整できなくなれば、結露を引き起こしやすくなり、木は湿気ると腐りやすくなるものですから、これから何十年も住まれる家にとってふさわしくないと考えています。また、構造用合板のほとんどがF☆☆☆☆という現在日本の基準で有害物質の排出が最も少ないランクとなっていますが、少ないだけで有害物質が発生していないわけではありません。高気密が求められる昨今の住宅では微量であっても人体に影響のない建材を使いたいものです。特に屋内に面する部分は使わない方が良いでしょう。そういった理由で家にとっても人にとっても健康になるこのスギムクボードを室内に面する1枚目の野地板として採用しています。
また、屋根のスギムクボードは建物のねじれを抑える構造材として、耐震についても役立っています。柱の上をつなぐ横たわった構造材(梁)から木を立てて(小屋束と言います)屋根を乗せていますが、梁と小屋束は通常カスガイという細い金物でつなぎますが、屋根をただ乗せているだけといっても過言ではありません。今回は屋根を支える木(垂木)を柱と同じ12cm角とし、12㎜の先のとがったボルト(ラグスクリュー)でがっちりと固定し、屋根を井形に組んでスギムクボードの四周を釘でがっちり固定していますので、地震に強い堅固な屋根となっています。
今回、屋根を1m程壁から出していますが、外部に張り出した屋根の裏(軒天)はスギムクボードを直接見せるデザインとし、木の家であることを一層外観からわかるようにしています。
1枚目の野地板(スギムクボード)の上に遮熱機能がある透湿防水シート(タイベックシルバー)を敷きます。部屋がある部分の上に敷きます。
遮熱シートは夏の暑さを軽減します。今回は遮熱機能がある透湿防水シートですので、屋根の湿気を屋外に排出する機能があります。
遮熱機能がある透湿防水シートの上に通気胴縁を設置します。ここが屋根の通気層となり、屋根の下から空気を入れ、屋根の上から換気できるようにし、屋根の暑さを抑えると共に湿気を外部に排出します。
通気層に虫が入らないように、屋根の一番下の部分(軒先)に防虫網を設置します。通気層の入口は屋根材の一番下の隙間とし、見えないよう工夫し、シャープなデザインを可能としています。
通気胴縁の上に2枚目の野地板を施工します。
2枚目の野地板の頂部は熱気と湿気が排出されるよう換気棟部分に穴をあけておきます。
2枚目の野地板の上に防水シート(ゴムアスルーフィング)を敷きます。万が一屋根材から雨が入っても、この防水シートがしっかりと防水します。昔の家に比べかなり防水性が向上されました。
屋根材を施工します。今回はガルバリウム鋼板立平葺きです。シャープな縦筋が出るすっきりとした屋根になります。ガルバリウム鋼板はアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%から成る、アルミ亜鉛合金めっき鋼板の事ですが、今日ではごく一般的な鉄板です。昔のカラー鉄板は劣化し、何年かたてば塗り直す必要がありますが、ガルバリウム鋼板は錆びにくく、ほぼ塗替えが不要です。
ガルバリウム鋼板の裏には雨音を低減させるビブレス ルーフシートを貼っています。
屋根工事が無事完了しました。頂部(棟)の真ん中のでっぱりは換気棟です。
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